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「…と言う事だ。さっさと行って用事を済まそう。二人は忙しいから時間は無駄に出来ん。」
斎藤は総司の肩を二回叩いて横を通り過ぎた。
「そうね斎藤さんの言う通りやわ,ちゃっちゃと済ませよ。」
「行きましょ行きましょ!」https://www.easycorp.com.hk/zh/bank-account
和気あいあいと廊下を行く三人の背中を羨望の眼差しで見つめながら,総司は下唇を噛み締めた。
『何で否定しないんですか,二人とも……。』
お似合いだなんて言われて何も言わず,見つめ合ってただけの二人が何だか気に食わなかった。
追っかけて“私も行きます”って言いたいのに,足は動いてくれなかった。
『お似合い…なのかな……。』
あれだけ三津と一番仲が良いのは自分だと信じていたのに,時々こうして自信を失う。
好きならば強引になれと言う自分が居て,もう一方で彼女の幸せを願うなら身を引けと言う自分も居る。
『やっぱり人を想うのは苦手だ……。』
こんな時もやもやした気持ちを晴らす為の術も,剣術の練習に没頭するしか知らない。
総司はとぼとぼと道場へ向かうのだった。
「わぁ,人いっぱい!」
年越しの準備に勤しむ人で町も忙しなかった。
「はぐれるなよ。」
斎藤に釘を刺され三津はへらっと笑って頬を掻いた。
「じゃあ掴んどけ。」
ぶっきらぼうに差し出された右腕を三津はしっかり掴んだ。
慣れた様子で人混みを掻き分けるたえの後ろを二人は付いて歩いた。
『一年前はこの人混みが怖かったっけ…。』
しみじみと行き交う人を眺めながら,物思いに耽っているとじっとこっちを見ている人影に気付いた。
目深に笠を被って人の波に乗らず佇んでいる。
『あの人…。』
見覚えがあった。目深に被った笠のせいで顔はよく見えないが,きっと目は合っている。
少しだけ覗く口元が笑みを浮かべる。
そしてうっすらと唇が開く。
ただいま――――。
『ただい……ま……?』
確かにそう言った。
遠目だから見間違いかもしれない。
『でも,でも…。
あの人を小馬鹿にしたような,私の事からかってるように笑うのって,もしかして……。』
三津の心臓が急速に早くなる。
『吉田さん……。』
帰って来たんだ。彼が無事に帰って来た。
三津の目が大きく見開かれた。
すると視線の先の男は踵を返して三津に背を向けた。
「あっ!」
その背中を追い掛けようと飛び出した体は,すぐに後ろに引き戻された。
「どうした,どこに行く気だ?」
斎藤の腕が三津を引き止めていた。
「あ…えっとぉ……。」
『しまった,ここで吉田さん追い掛けたら確実に斎藤さんと斬り合いに…。』
ちらりと吉田と思しき男が居た方を見れば,その姿はもうなかった。
「三津?」
「はいっ!あの,ちょっと知り合いに似てる人が居たから。」
「それで追い掛けようとしたのか?」
「はい…。すみません……。」
三津はしょんぼり肩を落として反省の意を表した。
「ホンマに久しぶりに見かけたからつい……。」
「人違いじゃなかったか?確証もないのに追い掛けてはぐれてしまっても探してやらんぞ?」
「それは嫌…。」
「今度離れてみろ,屯所に帰ったら大声でお前が迷子になったと叫んでやるからな。」
「そっちの方がもっと嫌…。」
ぶるぶる首を横に振って腕にすがりつく。
離れないように三津がとった行動は,斎藤の腕を絡め取ってべったり引っ付くだった。
「止せ!みんな見てるだろう!!」
斎藤が力を込めて振り切ろうとすればする程,三津も必死でしがみつく。
「嫌やわ二人でそんな密着して見せ付けんといてくれる?」
荷物を抱えたたえがいいモノを見たとにんまり笑う。
「誤解だおたえさん。
コラ離れろ,おたえさんの荷物を持たにゃならんのだ。」
それなら仕方ない。三津は素直に腕を解いた。
「今の斎藤さん,周りから見たら浮気を妻に見つけられた旦那ってとこやで。この色男。」
「止めて下さい…。」
『こんな事になるなら沖田に譲れば良かった…。』