[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「で。どこへ行くんですか?」
沖田は全く。と言いたげな顔で美海を見た。
「決まってるでしょう。江戸の街ですよ」
決まってるって知らないし。
美海は心の中で突っ込んだ。
「街に行くだけでなんでこんな格好させられてるんですか?」
美海は自分の頭を指差した。
現在美海の頭は真っ黒だ。山崎が残したカツラである。
「私の地元と言えど討幕派の民間人もいます。今じゃ京はおろか、江戸にも討幕派の連中はうろついてますからね」
要するに新撰組幹部、立花美海のトレードマークである茶髪は目立ちすぎると言うのだ。
沖田は新政府側と呼ばずに討幕派と言った。公司銀行開戶 - easyCorp
まだ幕府は倒れてなんかいない。まだやれる、という意思表明に見えた。
地元でも幕府側というだけで肩身が狭いのか。
嫌な世の中になったな。
美海はしかめっ面をした。
確かにそこら辺を堂々と長州のとんがり帽子が歩いている。
京、大阪はもっとすごかった。
本来なら捕縛して切り捨てるところなのに。
「おい!お前、その刀いいなぁ。くれよ」
江戸の街に着いた早々だ。
とんがり帽子の兵士二人組がニヤニヤしながら鍛冶屋の店主に言った。
「えっと…お会計は…」
「はぁ?俺らは国のために働いてるんだぜ?金がいるか?むしろお前らが払うべきだろ!」
兵士の一人が嫌な笑い声でカチャカチャと自分の刀の柄をいじっている。
「ひ!すいません!」
国のためと言いながらも近くの民間人に見下したような目で突っ掛かるとんがり帽子の兵隊に美海はいらつきを感じた。
何も言わない沖田だがその手はきつく握りしめられていた。
「長州様じゃ!これ持っていってください!」
老婆が駆け寄って小判を渡す。
「ふん!わかってるじゃねぇか」
なにあの態度。
美海は益々眉間の皺を濃くする。それは沖田も同様だ。
「長州様がお通りになられる!道を開けろ!」
命惜しさ故に仕方なく道を開ける者もいるが、もはや宗教染みている。
いつからそんなに偉くなったんだ。
そうは思えど目立つは厳禁。二人も人ごみに紛れて道を開けた。
兵士はズカズカと歩く。
すると目の前に子供が出てきた。というよりいたのだろう。
兵士は動きを止める。
その子供の目線に合わせてしゃがみこんだ。
「坊主?今回は気分が良いから見逃してやろう。だから早く去れ」
「なんでー?」
まだ何も知らないのだろう。そのぐらい小さい。
その場の聴衆はハラハラしながらそれを見ていた。
だれも助けない。
「坊主、世の中には立場というものがあるんだ。弱い者は強い者に従うのが道理ってもんよ」
子供は全くわかっていない。
首を傾げている。
なんだか嫌な予感がする。
刀は、ある。
美海は目線は外さずに手探りで刀の鞘を触った。
「おじちゃん達のその服変だね」
その場は凍りついた。
子供は見事に兵士の怒りを買ってしまった。
幼さ故の純粋な考えである。
「がきんちょ。いい加減にしろよ?俺は今気分がとても悪い。俺の気分を損ねたことを死んで償え!」
兵士は刀を抜いた。
その瞬間美海と沖田は走り出す。
沖田は近くの笠を奪い、頭に被った。
ガンッ!
沖田が刀を止め、美海が子供をすかさず離れさせる。
大分長い間ブランクがあったが今でもその名コンビは健在なようだ。
「なんだお前ら!」
あからさまに不機嫌な声で兵士は叫ぶ。
「あなたこそなんですか。短気にも程がありますよ」
沖田は笠の下の目を光らせた。
その間にも泣き叫ぶ子供を美海は安全な場所へ避難させた。
大人に預けると再び刀を抜いて前へ出る。
「むぐ!?」
「沖田さんも悪く言われるのはおかしいですよ!皆、誰も悪くない!」
美海は沖田の口に団子を突っ込んでいる。沖田は目をまんまるく開いている。
「だから自分をそういう風に言わないでくださいよ…。沖田さんが正しいと思ってる事をしてるんでしょ?」
「はい。そうですね…!」
沖田は今日一番の笑顔を見せた。
「分かれば良いんです!」
美海も笑っている。
「はい!あんみつとお萩です!ごゆっくり!」
店員が残りの注文を全て持ってきた。机はぎゅうぎゅうだ。
「よし!食べますよ!」
「どうぞ」
「沖田さんも食べるんですよ!」
「へ?」
「ご飯前にこんな甘ったるいもの食べきれません!」
「いいんですか?」
沖田は目を輝かす。
「当たり前です!」
よく見れば注文した品は全て偶数ずつある。
始めから分けるつもりだったんだろうな。
クスッと沖田は笑った。
「私…また子供達と遊んであげてもいいですよ…?」
美海が少し顔を赤らめて言っている。
「え?」
「別にあの子達は悪くないし…。体力作りにもなりますし…」
ごにょごにょと美海は口を動かす。
「ありがとうございます!あの子達も喜びますよ!すいませーん!あんみつ4つお願いしまーす!」
「はいよ!」
「まだ食べるんですか!?」
沖田が食べ始めたことによりすぐに机は片付いた。
美海は遊廓で美女に酒を注いでもらうよりも、子供達と遊んだり沖田とお茶するほうが楽しいなと思った。
しばらく沖田は食べ続け皿は山盛りになっていた。沖田の財布はすっからかんだそうだ。
自業自得である。
「西郷殿。大阪はいいとこじゃのう!まさか薩摩藩邸でお世話になれるとは思っとらんかったが!」
「それはよかった。まぁ勝の頼みときちゃあ仕方がない」
ここは薩摩藩邸。
中では大男と顔の濃い男が座っている。
「それよりわしは京に探してる人がいるきに今から京に行こうと思うぜよ!」
「大丈夫なのか?京には見廻り隊やら新撰組やらがうろついてるぞ?」
「かまんが!わしにはこれがあるきに!」
大男は腰から一丁の銃を取り出した。
「ほぅ」
「高杉に貰ったやつぜよ。こっちはおりょうと一緒じゃ」
もう一丁銃を取りだした。
「もしもの時はコイツが火を吹くぜよ!バーン!てな」
大男は銃を打つ真似をする。
「二丁もあるのか。まぁ好きにすればいい。お前は勝からの預かり物だ。くれぐれも捕まるなよ」
「わかっちゅうよ!」
大男は立ち上がった。
「行ってくるぜよ」
大男はニッと笑うと部屋を出た。
「何をしようとしているのかは知らんがお前の言う通りあいつは本当に世界を変える男かもしれんなぁ。勝よ」
一人呟いた顔の濃い男。
西郷 隆盛である。
「暇だなぁ」
カランカラン…
美海は一人で京の街を歩いている。
何故一人なのかというと、沖田、原田は巡回、藤堂、永倉、近藤は隊士募集のため江戸へ、山南は仕事、なんだか土方、斎藤は誘いづらかったのだ。
無論山崎は誘いたくない。
屯所にいればいいのだがせっかくの非番だ。外に出たい。
ブルッ…
「肌寒いなぁ」
もう10月だ。
ガラッ
「いらっしゃーい!あら。今日は一人?」
「はい。今日はまじで一人です…」
美海の足は自然といつもの甘味処へ向かっていた。
「じゃあそこ座って!」
美海は指定された席に座る。
「んーと…。あんみつ2つと団子10本とお汁粉4つで」
なんだかこっち来てからどうも過食気味な気がする。
絶対に沖田さんのせいだ!
こんな糖分とって大丈夫なのかな!?まさかの私が糖尿病なんてないよね!?
「はいよ!」
あぁ。給料少ないのにな…。
美海は財布を見て涙を溜める。
ドンッ
「はい!団子10本!」
「母上!あの人一人であんなけ食べるのかな?」
「あんまり見ちゃ駄目よ!」
美海は現在沖田に貰った黒い着物を着ているのだが、やはり髪の色で新撰組だと分かるのだろうか。
周りの視線が痛い。
はぁ。一人って虚しいなぁ。
もう視線には慣れているのだが、話相手がいないのはつまらないものだ。
「──明日 上様のごに付き従い、安土を発つ事と相成りました」
光秀が大それた決意を固めた、その日の夜。
蘭丸は上洛の挨拶の為に、胡蝶の部屋へと忍んでやって来ていた。
居間の上座に座している胡蝶に、蘭丸はの姿勢を取りつつも、穏やか微笑を向けている。
「明日はの仕度に追われ、姫様のもとへは参れぬやも知れませぬ故、ながら今宵の内にご挨拶をと思いまして」
「そんな、私ごときにお気などわれますな。父上様のお側近くに仕え、何かとご多忙でしょうに」
「いえ、それ程のことは。 …それに、上様のお側に仕えていたお陰で、はこうして姫様と出会い、
あなた様のとなる光栄に浴することが叶うたのですから、多少の苦労は本望にございます」
「…蘭丸様」
清々しい程の笑顔を浮かべる蘭丸を見て、胡蝶は少々 思い詰めたような顔をして、軽くいた。
「どうなされました? どこかお加減でもお悪いのですか?」https://www.easycorp.com.hk/zh/bank-account
「い、いえ──何も」
胡蝶が慌てて首を左右に振ると
「そう申せば、今宵はお菜津殿のお姿が見えませんね」
いつも姫のらにある侍女の顔が見えず、蘭丸はきょろきょろと室内を見回した。
「お菜津でしたら、母上様の御座所へ参っておりまする」
「御台様の?」
「何やら、明日の上洛のことでお話しがあるからと、少し前にお呼びがありまして」
「左様にございましたか」
「私を残しての京へ参られる故、母上様も色々とご心配事があるのでしょう」
胡蝶が笑って言うと、蘭丸は「え…」とそうに眉をひそめた。
「失礼ながら──御台様も、京へ参られるのですか?」
「ええ。お聞き及びではありませぬか?」
「御台様のご上洛のことは、何も」
「…妙ですね。確かに母上様が、父上様に従って京へ参られると、わざわざこちらへ来てお話し下されたのですけれど」
胡蝶は小さく首をった。
主君の正室が共に参るというのに、出立にする、蘭丸ら小姓衆がその知らせを受けていないなんて。
内々の話だったのであろうか?
「まぁ、奥向きに関わることは表沙汰にせぬのが習いです故、上様もあえて申されなかったのやも知れませぬ」
相手を不安にさせまいと、蘭丸が楽観的に述べると
「かも知れませんね──明日、出立前に父上様がこちらへお越しになられるそうなので、その折に伺ってみます」
胡蝶もって頷いた。
「それよりも、蘭丸様」
「何でございましょう」
「まことに……よろしいのですか?」
「よろしいとは?」
蘭丸に問い返され、胡蝶はいがちにもごもごと口を動かすと
「私のような者を妻になさる事にございます」
ややあってから、ひと息に言った。
その言葉を聞いて蘭丸は軽く双眼を見開くと、すぐにばんだような表情を浮かべた。
「また左様な事を。以前にも申しましたが、某は──」
「分かっています。 蘭丸様が私の境遇を全て理解し、受け入れて下さっていることは」
相手の言葉をるように告げると、胡蝶はまた躊躇った様子を見せてから、静かに蘭丸の顔を見た。
「ただ、私が妻となっても、あなた様の為に何もして差し上げることが出来ませぬ故……それがのうて」
申し訳なさそうに胡蝶が目を伏せると、蘭丸は “ そういう事か ” と笑みを浮かべ、小さく首を左右に振った。
「そのような心配はご無用にございます。某は、姫様を己の妻に迎えられることを、我が身のれと思うておりまする。
姫様が側にいて下さる──それだけで、この上ない幸福を感じているというのに、いったい他に何を望むことがありましょう?」
「……」
「兄の力になりたいという、そなた様のお心意気は見上げたものじゃ。 なれども、そのような事で主が無闇に城を留守にして如何なされまする!?」
「されど、有名無実とは申せ、主家の斯波氏が守護代に討たれとあらば織田家の一大事!
そのような時に、城の中で安穏と様子だけを窺っているような耄けた真似など、この信勝には出来ませぬッ」
「落ち着きなされませ!」
報春院はひと声張ると
「既にこちらからは柴田殿が出陣致しておるのです。そなたがわざわざ那古屋の城まで出向く必要などございませぬ」
「なれど─」
「お願いですから、母の言うことを聞いて下され」
やおら、母親らしい諭すような口調で信勝に告げ始めた。
「清洲の信友様は我らのお味方じゃ。信長殿を廃し、そなたが織田家の総領となれるよう、多大なるご尽力をして下さっているお方なのですよ」
「母上、またそのような話を」公司銀行開戶 - easyCorp
「良く聞きなされ信勝殿。勝敗はまだ決してはいないのです。万が一にも清洲勢の勝利という結果に終われば、
そなた様のその安易な行動故に、我らは強大な後ろ楯を失うことになるのですよ!?」
「……」
「ご宗家の支持がなければ、そなたの擁立が尚更難しゅうなる。そうなれば、この先何十年とあの信長殿の天下──。
嗚呼!なりませぬ!それだけは何としても阻止しなくては!」
報春院は急にヒステリックな声を上げると
「とにもかくにも、那古屋へ参ることはこの母が許しませぬ!早急に己の座所へお戻りなされませ」
威嚇するような目付きで、狼狽顔の信勝を見据えた。
虚栄心が強く、誇り高いこの母のこと。
下手に反発などしようものなら、乱心紛いのことを仕出かし兼ねないだろう。
そうなると、親族思いの信勝の心が「く」の字が向けるのは、一族の謀反より、実母の懇願である。
信勝は鬱屈の思いを抱えながらも、黙って自室に引き返す他なかった。
一方 柴田勢と清洲勢の戦闘は、安食村から誓願寺(じょうがんじ/成願寺)前に場を移して激しく繰り広げられていた。
清洲勢は奮闘し、暫くは寺前で防ぎ続ていたが、とうとう町口の大堀の中へと追い込まれてしまった。
河尻与一、織田三位らも切ってかかり、二・三間を隔てて柴田勢と戦ったが
「突けー!怯まずに突き続けるのじゃー!!」
「恐れるな!見よ、あちらの槍は短いぞー!」
清洲勢の持つ槍は短く、柴田勢の槍が長かったことが勝敗の行方を分けた。
信長のあの長槍戦法がここに来て有効に働いたのである。
清洲勢も一歩も引かずに戦い続けたが、河尻与一、織田三位を含む大和守家の家臣たち三十名ほどが討死した。
この折、亡き守護・義統の家臣・由宇喜一(ゆうきいち)なる、まだ十七、八の若人が参陣していたが、
彼は果敢にも湯帷子の姿のままで突き進み、見事 織田三位の首を討ち取ったとして、信長からひとかたならぬ称賛を受けたという。
信友が誰となく伺うと
「大殿のご遺志もございます故、殿の弾正忠家継承はもはや止めようのなきもの。
……ここは流れに身を任せ、じっくりと機会を窺うのが無難な道かと存じまする」
床に双の手をつかえながら、秀貞は真摯な態度で進言した。
「機会のう」https://www.easycorp.com.hk/zh/bank-account
「それに、実のことを申せば、肝心の信勝様が未だお心を決め兼ねておいでなのです」
「何と、其(そ)はまことか!?」
「はい。──柴田殿、有り体に申し上げよ」
秀貞は隣に控える権六を一瞥する。
「畏れながら、信勝様はご自身が信長様に代わってご家督を継がれることに対して、ひどく消極的でございまして、
“この期に及んで兄上と家督を争うつもりなどない”“自分は大殿が残した末森城を相続出来ただけで十分だ”と、左様に仰せで」
「何と欲のないお方じゃ」
「まさかここに来て、信勝様の品行方正な姿勢があだになるとはのう」
与一と三位は目を細め、他人事のように呟いた。
「じゃが、それでは…」
「それでは我々が齷齪(あくせく)と信勝様擁立に努めている意味がないではござらぬか!」
信友が言おうとするのを遮り、大膳が怒声を響かせた。
「肝心の信勝様のお心が定まっていなければ、信長殿から当主の座を奪う事はおろか、いざと言う時に兵も動かせぬ」
「まずは信勝様の心変わりに努められるべきであろう」
「そちら様が為すべき事を為さぬ内は、我々とて力添えの仕様がありませぬぞ」
大膳に続き与一と三位も声を上げ、秀貞たちを不甲斐なさそうに見つめた。
「事を進めたくば、まずは信勝様をご説得致されよ。──よろしいな?」
大膳は重々しく告げると、弾正忠家側の一同は、彼に対して頷くように頭を垂れた。
「いったいどういうつもりじゃ?」
秀貞たちが去った後、信友は何とも不愉快そうな面持ちで大膳らを睥睨した。
「…は」
「あやつらに釘を差さすのは儂の務め。何故そなたらがでしゃばるのだ」
主君の静かな激昂に、大膳は子供をあやす母のような甘い微笑を向けた。
「申し訳ございませぬ。あれしきの事ならば、殿が自ら御叱責あそばされる程の事ではないかと思いまして。──のう?」
と、大膳は隣の与一に目配せする。
「さ、左様にございまする。殿があまりにも口を開き過ぎては、ご当主としての威厳が損なわれます故」
信友は重臣らの言葉をふーんと軽く受け流したが、内心は憤りを感じていた。
彼は清洲織田家の当主でありながらも、家中の主導権は大膳を始めとする重臣たちに握られており、信友自身は張り子の内裏雛状態であった。
時にはその状況に甘んじる事もあったが、やはり何事にも大膳らが口を挟んでくる今の有り様に、信友も欝屈の思いを抱えていた。
「…ならば良いが、儂はそちらの傀儡になり下がる気はないぞ」
「ご安堵召されませ。殿は御無力な守護殿とは違いまする」
大膳の口元がきゅっと三日月形につり上がった。
彼の言う無力な守護殿というのは、斯波(しば)氏第十四代当主・斯波義統(よしむね)のことを指していた。
斯波氏はその昔、足利将軍に次ぐ役職を任ぜられた名門であり、尾張の守護職にあった。