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「で。どこへ行くんですか?」

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「で。どこへ行くんですか?」

「で。どこへ行くんですか?」

 

 

沖田は全く。と言いたげな顔で美海を見た。

 

「決まってるでしょう。江戸の街ですよ」

 

 

決まってるって知らないし。

 

美海は心の中で突っ込んだ。

 

「街に行くだけでなんでこんな格好させられてるんですか?」

 

美海は自分の頭を指差した。

 

現在美海の頭は真っ黒だ。山崎が残したカツラである。

 

「私の地元と言えど討幕派の民間人もいます。今じゃ京はおろか、江戸にも討幕派の連中はうろついてますからね」

 

 

要するに新撰組幹部、立花美海のトレードマークである茶髪は目立ちすぎると言うのだ。

 

 

沖田は新政府側と呼ばずに討幕派と言った。公司銀行開戶 - easyCorp

まだ幕府は倒れてなんかいない。まだやれる、という意思表明に見えた。

 

地元でも幕府側というだけで肩身が狭いのか。

嫌な世の中になったな。

 

 

美海はしかめっ面をした。

 

確かにそこら辺を堂々と長州のとんがり帽子が歩いている。

京、大阪はもっとすごかった。

 

本来なら捕縛して切り捨てるところなのに。

 

 

「おい!お前、その刀いいなぁ。くれよ」

 

江戸の街に着いた早々だ。

とんがり帽子の兵士二人組がニヤニヤしながら鍛冶屋の店主に言った。

 

 

「えっとお会計は

 

「はぁ?俺らは国のために働いてるんだぜ?金がいるか?むしろお前らが払うべきだろ!」

 

兵士の一人が嫌な笑い声でカチャカチャと自分の刀の柄をいじっている。

 

「ひ!すいません!」

 

 

国のためと言いながらも近くの民間人に見下したような目で突っ掛かるとんがり帽子の兵隊に美海はいらつきを感じた。

何も言わない沖田だがその手はきつく握りしめられていた。

「長州様じゃ!これ持っていってください!」

 

老婆が駆け寄って小判を渡す。

 

「ふん!わかってるじゃねぇか」

 

 

なにあの態度。

美海は益々眉間の皺を濃くする。それは沖田も同様だ。

 

「長州様がお通りになられる!道を開けろ!」

 

命惜しさ故に仕方なく道を開ける者もいるが、もはや宗教染みている。

いつからそんなに偉くなったんだ。

 

そうは思えど目立つは厳禁。二人も人ごみに紛れて道を開けた。

 

兵士はズカズカと歩く。

 

 

すると目の前に子供が出てきた。というよりいたのだろう。

兵士は動きを止める。

 

その子供の目線に合わせてしゃがみこんだ。

 

「坊主?今回は気分が良いから見逃してやろう。だから早く去れ」

 

「なんでー?」

 

まだ何も知らないのだろう。そのぐらい小さい。

その場の聴衆はハラハラしながらそれを見ていた。

だれも助けない。

 

 

「坊主、世の中には立場というものがあるんだ。弱い者は強い者に従うのが道理ってもんよ」

 

子供は全くわかっていない。

首を傾げている。

 

 

なんだか嫌な予感がする。

刀は、ある。

 

美海は目線は外さずに手探りで刀の鞘を触った。

 

 

 

「おじちゃん達のその服変だね」

 

 

その場は凍りついた。

子供は見事に兵士の怒りを買ってしまった。

幼さ故の純粋な考えである。

 

「がきんちょ。いい加減にしろよ?俺は今気分がとても悪い。俺の気分を損ねたことを死んで償え!」

 

兵士は刀を抜いた。

その瞬間美海と沖田は走り出す。

沖田は近くの笠を奪い、頭に被った。

ガンッ!

 

沖田が刀を止め、美海が子供をすかさず離れさせる。

 

大分長い間ブランクがあったが今でもその名コンビは健在なようだ。

 

「なんだお前ら!」

 

 

あからさまに不機嫌な声で兵士は叫ぶ。

 

 

「あなたこそなんですか。短気にも程がありますよ」

 

沖田は笠の下の目を光らせた。

その間にも泣き叫ぶ子供を美海は安全な場所へ避難させた。

大人に預けると再び刀を抜いて前へ出る。

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