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「むぐ!?」
「沖田さんも悪く言われるのはおかしいですよ!皆、誰も悪くない!」
美海は沖田の口に団子を突っ込んでいる。沖田は目をまんまるく開いている。
「だから自分をそういう風に言わないでくださいよ…。沖田さんが正しいと思ってる事をしてるんでしょ?」
「はい。そうですね…!」
沖田は今日一番の笑顔を見せた。
「分かれば良いんです!」
美海も笑っている。
「はい!あんみつとお萩です!ごゆっくり!」
店員が残りの注文を全て持ってきた。机はぎゅうぎゅうだ。
「よし!食べますよ!」
「どうぞ」
「沖田さんも食べるんですよ!」
「へ?」
「ご飯前にこんな甘ったるいもの食べきれません!」
「いいんですか?」
沖田は目を輝かす。
「当たり前です!」
よく見れば注文した品は全て偶数ずつある。
始めから分けるつもりだったんだろうな。
クスッと沖田は笑った。
「私…また子供達と遊んであげてもいいですよ…?」
美海が少し顔を赤らめて言っている。
「え?」
「別にあの子達は悪くないし…。体力作りにもなりますし…」
ごにょごにょと美海は口を動かす。
「ありがとうございます!あの子達も喜びますよ!すいませーん!あんみつ4つお願いしまーす!」
「はいよ!」
「まだ食べるんですか!?」
沖田が食べ始めたことによりすぐに机は片付いた。
美海は遊廓で美女に酒を注いでもらうよりも、子供達と遊んだり沖田とお茶するほうが楽しいなと思った。
しばらく沖田は食べ続け皿は山盛りになっていた。沖田の財布はすっからかんだそうだ。
自業自得である。
「西郷殿。大阪はいいとこじゃのう!まさか薩摩藩邸でお世話になれるとは思っとらんかったが!」
「それはよかった。まぁ勝の頼みときちゃあ仕方がない」
ここは薩摩藩邸。
中では大男と顔の濃い男が座っている。
「それよりわしは京に探してる人がいるきに今から京に行こうと思うぜよ!」
「大丈夫なのか?京には見廻り隊やら新撰組やらがうろついてるぞ?」
「かまんが!わしにはこれがあるきに!」
大男は腰から一丁の銃を取り出した。
「ほぅ」
「高杉に貰ったやつぜよ。こっちはおりょうと一緒じゃ」
もう一丁銃を取りだした。
「もしもの時はコイツが火を吹くぜよ!バーン!てな」
大男は銃を打つ真似をする。
「二丁もあるのか。まぁ好きにすればいい。お前は勝からの預かり物だ。くれぐれも捕まるなよ」
「わかっちゅうよ!」
大男は立ち上がった。
「行ってくるぜよ」
大男はニッと笑うと部屋を出た。
「何をしようとしているのかは知らんがお前の言う通りあいつは本当に世界を変える男かもしれんなぁ。勝よ」
一人呟いた顔の濃い男。
西郷 隆盛である。
「暇だなぁ」
カランカラン…
美海は一人で京の街を歩いている。
何故一人なのかというと、沖田、原田は巡回、藤堂、永倉、近藤は隊士募集のため江戸へ、山南は仕事、なんだか土方、斎藤は誘いづらかったのだ。
無論山崎は誘いたくない。
屯所にいればいいのだがせっかくの非番だ。外に出たい。
ブルッ…
「肌寒いなぁ」
もう10月だ。
ガラッ
「いらっしゃーい!あら。今日は一人?」
「はい。今日はまじで一人です…」
美海の足は自然といつもの甘味処へ向かっていた。
「じゃあそこ座って!」
美海は指定された席に座る。
「んーと…。あんみつ2つと団子10本とお汁粉4つで」
なんだかこっち来てからどうも過食気味な気がする。
絶対に沖田さんのせいだ!
こんな糖分とって大丈夫なのかな!?まさかの私が糖尿病なんてないよね!?
「はいよ!」
あぁ。給料少ないのにな…。
美海は財布を見て涙を溜める。
ドンッ
「はい!団子10本!」
「母上!あの人一人であんなけ食べるのかな?」
「あんまり見ちゃ駄目よ!」
美海は現在沖田に貰った黒い着物を着ているのだが、やはり髪の色で新撰組だと分かるのだろうか。
周りの視線が痛い。
はぁ。一人って虚しいなぁ。
もう視線には慣れているのだが、話相手がいないのはつまらないものだ。